脳と発達
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Hemorrhagic shock and encephalopathy syndromeの2症例
港 敏則植村 幹二郎田中 一宏西村 範行森 裕美子前原 幸治石田 明人黒田 英造
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1992 年 24 巻 1 号 p. 71-77

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抄録

症例1は10カ月の男児, 症例2は1歳11カ月の男児.ともに発熱, 水様性下痢, 痙攣を主訴に当科に入院した.入院時, 意識なく四肢硬直していた.検査所見では, GOT, GPTが著明に上昇し, また血小板の減少, fibrinogen degradation products (FDP) の上昇, アンチトロンビンIIIの低下を認めた.血液ガス分析で代謝性アシドーシスを呈した.頭部CTにて症例1では広範囲にわたって低吸収領域を, 症例2では大脳基底核, 脳幹部を中心に低吸収領域を認めた.症例2の糞便検査にてロタウイルスを証明した.この臨床像は, 1983年にLevinらが提唱したhemorrhagic shock and encephalopathy (HSE) と酷似した.現在のところ原因不明であり予後不良の疾患であるがロタウイルスとの関係について今後検討を重ねていく必要があると考えられた.

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© 日本小児小児神経学会
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