脳と発達
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慢性炎症性脱髄性多発根神経炎を合併した多発性硬化症
渡辺 幸恵石川 幸辰若井 周治舘 延忠千葉 峻三
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1993 年 25 巻 1 号 p. 70-75

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抄録
小児期に発症した多発性硬化症で, 発病後2年目から慢性脱髄性多発根神経炎を合併した症例を報告した.患者は9歳時Devic病の徴候をもって発症し, 10歳時に片麻痺・小脳失調症状が出現し, 多発性硬化症と診断された.11歳時には上下肢の筋力低下と知覚障害, および四肢の腱反射の消失が認められるようになり, 神経伝導速度と神経生検の結果, 脱髄性末梢神経障害が明らかになった.以後中枢神経症状と末梢神経症状は再燃を繰り返し, 多発性硬化症に慢性脱髄性多発根神経炎を合併した症例と診断した.多発性硬化症に脱髄性末梢神経障害を合併する例は極めて少なく, 脱髄病変発現機序を明らかにする上で興味深い症例と考えられた.
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© 日本小児小児神経学会
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