脳と発達
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二分脊椎症の免疫遺伝学的検討
同胞発生例を中心として
斎藤 裕古場 群巳伊東 洋三輪 哲郎辻 公美
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1993 年 25 巻 5 号 p. 417-422

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抄録

二分脊椎症の同胞に多発した3家系, 計17名のうち免疫遺伝学的検査を施行し得た14名の報告を行った.A家系では父親は異なるが同一母体より生れた3名の男児に脊髄髄膜瘤を伴った二分脊椎症が発症した.いずれも重篤な水頭症を合併した.出生順位の早いものほど重症であった.B家系では第1, 2子は男児に脊髄髄膜瘤を伴う二分脊椎症が発症し, 第2子に高度な水頭症が合併した.第3子は女児で異常を認めなかった.C家系では, 第2子に脊髄髄膜瘤を伴う二分脊椎症と水頭症が発症し, 第1, 3子女児は潜在二分脊椎症であった.各症例に対し, ヒト主要組織適合性抗原 (HLA) 並びに赤血球膜抗原としてABO型, C, c, D, d, E, e, Lea, Leb, M, N, S, s, P型, 染色体検査を行い免疫遺伝学的背景を検討した.二分脊椎症発生との関連性は明らかにできなかった.したがって現時点ではこれらの評価による遺伝相談のための1資料とすることは出来なかった.

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© 日本小児小児神経学会
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