抄録
発作間欠期脳波で多焦点性, 領域性または両側性てんかん波を示すてんかん患者17例において1次焦点を推定する目的でてんかん波の16チャンネル同時加算平均を行った. 同時にてんかん波出現部位間の連結双極変換を行い, 位相逆転部位から焦点を推定し加算平均法の結果と比較した. 両方法による焦点推定部位は高い一致率を示した. 加算平均法により17例中16例において, てんかん波出現部位を絞り込むことができ, 6例において単一焦点を明確にできた. さらに頭部・眼球偏位など側方徴候を有する8例中3例において加算平均における焦点側と側方徴候から推定される焦点側とが一致した. 他の5例では両側性焦点となり, そのうちの1例は一側の焦点切除後に他側の焦点が残存した. 以上の結果から, 加算平均法は多焦点性または同期性てんかん波の一次焦点を推定するのに有用であることが示唆された.