脳と発達
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低酸素性虚血性脳障害の病理と可塑性
大野 雅樹小野 恭一島田 司巳
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1996 年 28 巻 2 号 p. 118-124

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抄録

周産期の低酸素性虚血性脳障害における一連の細胞反応, およびそれに伴う生理活性物質の動態を検索することは, 脳障害の予防法・治療法の確立のためには不可欠である.新生仔ラットの障害脳において早期に反応するものはミクログリアであり, 神経細胞障害の過程に重要な役割を担っている可能性が示唆された.また近年, 虚血性の障害を受けた神経細胞を防御する要素として, 神経栄養因子が注目されているが, その一つである血小板由来成長因子がsublethalな障害を蒙った神経細胞の救済に関与していると考えられる結果が得られた.神経栄養因子が実際の臨床に応用されることも遠いことではないであろう.

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© 日本小児小児神経学会
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