抄録
我々は, 生後2カ月に痙攣発作にて発症したAicardi症候群を経験し, 脳波所見, 体性感覚誘発電位, 脳幹聴覚誘発電位, 閃光視覚誘発電位などの電気生理学検査を中心に検討した.入院時脳波上認められたhypsarrhythmiaは, ACTH療法などにより消失した.脳幹聴覚誘発電位はI-V波頂点間潜時に左右差 (右の潜時の延長) が認められた.閃光視覚誘発電位では左側成分は消失していた.体性感覚誘発電位は入院時には各成分は認められなかったが, 脳波所見が改善した時期には右正中神経刺激のみ大脳成分が認められた.これら誘発電位の所見より, 本症における中枢神経系障害は多発性であり, 障害部位を知る上でこれらの検査は有用と考えられた.