1996 年 28 巻 5 号 p. 443-447
我々は, 2度の筋生検で乳児良性型cytochrome coxidase (以下CCOと略す) 欠損症と診断した女児を経験した. 生来全身の筋緊張は著しく低く, 生後2カ月時には人工呼吸管理が必要であった. 高乳酸・高ピルビン酸血症ならびに低カルニチン血症を認め, 同時期の筋生検の結果でCCO欠損症と診断した. L-カルニチンとcoenzyme Q10の併用療法にて速やかに血中乳酸・ピルビン酸値は正常化し, 筋緊張低下も漸次改善した. 生後6カ月には人工呼吸管理を中止でき, 1歳3カ月で歩行可能となった. 3歳8カ月現在, 精神運動発達に異常はなく, 筋生検でCOX活性の著明な改善を認めた.