脳と発達
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母体環境と脳発達障害
田中 晴美
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1997 年 29 巻 3 号 p. 183-189

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抄録

母体の環境因子による脳発達障害に関して, 防止あるいは減少を最終目的として検討を行った. 胎児性アルコール症候群およびその不全型ラットにおいて, エタノールと同時に投与した亜鉛によりある程度の脳機能修復の所見を海馬のニューロンにみた. 妊婦の高カフェイン摂取と関連して, その子供に行動異常を伴う脳障害の存在が推定された. X線小頭症ラットにおいて, 酸素ラジカルの除去作用を有するビタミンEの投与を行うと, 大脳異常は量的にはかなりの程度まで防禦された. 銅のキレート剤である2塩酸トリエンチンによるマウス胎仔大脳中の低銅状態と関連した脳発達障害出現の可能性は, Wilson病妊婦では低い. 胎児性タバコ症候群において, 1日20本以上のタバコにより脳発達障害が認められた.

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© 日本小児小児神経学会
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