脳と発達
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知能低下で発症したもやもや病の1例
細谷 まち子
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1997 年 29 巻 6 号 p. 471-475

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抄録

小児のもやもや病は, 運動障害などの一過性脳虚血症状で発症することが多く, 知能低下で発症することは稀でかつ気付かれないことがある.幼児期に知能低下で発症したが精査を受けず, 9歳時に左上肢と下肢の舞踏様運動が出現したため受診し, もやもや病と診断された症例を報告する.受診時IQは64であった.MRIで多発性の脳梗塞を認め, SPECTでは同部位の血流低下と右基底核の血流低下を認めた.浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術を施行後舞踏様運動は消失したが, 知能低下は改善しなかった.術後のSPECT検査では, 梗塞部位を除いて脳血流は改善した.
乳幼児で知能低下が出現した場合には, もやもや病を鑑別診断に入れる必要がある.

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© 日本小児小児神経学会
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