脳と発達
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脳炎後, 頭部MRIにて広範な変化を呈し複雑部分発作を反復した1幼児例
特異な脳炎・脳症後てんかんの一群 (粟屋・福山) との比較
柴田 優今中 康文嶋 緑倫吉岡 章
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1997 年 29 巻 6 号 p. 481-487

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抄録

日間の発熱の後, 右側優位の全身性強直間代性痙攣の重積発作を発症した5歳男児例を経験した.第11病日のMRIでは左側頭葉, 頭頂葉, 後頭葉の皮質が腫脹し, T2強調画像で高信号域を示した.第17病日のCTでは左側頭葉, 頭頂葉および後頭葉にかけて広範囲に連続する低吸収域を認めた.その後, 全身痙攣は消失し, 皮質の腫脹も徐々に改善した.しかし失語症を残し, 複雑部分発作を反復した.その後MRIでは左側頭葉と海馬の萎縮が進行した.現在'難治性てんかんとして経過観察中であるが, 限局性脳炎の存在が示唆され, 栗屋らの提唱した「特異な脳炎・脳症後てんかんの一群」に関連した症例と考えられた.

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© 日本小児小児神経学会
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