脳と発達
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多発性脳神経麻痺と大脳病変を伴った急性多発根神経炎の1例
encephalo-myelo-radiculo-neuropathyの存在の可能性
糸数 直哉児玉 由紀子紺谷 幸代井上 忍杉本 徹大井 長和
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1998 年 30 巻 5 号 p. 423-429

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抄録

多発性脳神経麻痺と大脳病変を伴った急性多発根神経炎の1例を報告する.症例は1987年7月26日生まれの男児.1996年6月23日から感覚障害と睡眠障害を呈するようになった.7月2日強直性けいれんがあり入院した.入院時の意識は清明であったが, 著明な眼球運動障害と顔面神経麻痺がみられ, 翌日から呼吸障害と四肢麻痺が出現し, 急速に進行した.髄液と神経伝導速度検査の所見は急性多発根神経炎に一致したが, MRI, SPECTと脳波所見から両側性の後頭・頭頂葉を中心とした明らかな大脳病変が示唆された.血漿交換療法が著効し, 患児は完全に回復した.本症例の神経放射線学的所見を含む臨床像は過去に提唱されていたencephalo-myelo-radiculo-neuropathyの疾患概念にほぼ一致すると考えられるので, 同様な症例が集積することでこの概念が確立するかもしれない.

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© 日本小児小児神経学会
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