脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
小児インフルエンザ脳炎の予後は脳温上昇で決まるのでは?
林 成之
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 32 巻 2 号 p. 156-162

詳細
抄録
幼児, 特に乳幼児のインフルエンザ脳炎は, 経過が早く非常に強い脳浮腫を起こすため予後が悪い.インフルエンザ脳炎に脳低温療法をどの様に導入するかを検討している過程で, インフルエンザ脳炎の治療目標となる病態として, 脳内熱貯溜に伴う脳内温度 (脳温と略す) の上昇, 脳血液関門の早期破壊と脳内への大量サイトカインが発生する新たな脳損傷機構が浮び上がって来た.脳内熱貯溜の発生条件として, 体温38℃ 以上, 収縮期血圧<90~100mmHgであり, 40~44℃ の脳温ではウイルスの生存が困難なため髄液にウイルスが検出されなくても非常に強い脳浮腫が発生する.治療法として脳低温療法の具体的な応用方法を提起した.
著者関連情報
© 日本小児小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top