脳と発達
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脳幹誘発電位によるJoubert症候群の脳幹機能の検討
山藤 加奈前岡 幸憲杉浦 千登勢難波 由喜子洲崎 一郎岡 明井上 岳彦
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2000 年 32 巻 3 号 p. 281-283

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抄録

Joubert症候群の2例における脳幹機能を脳幹聴覚誘発電位 (BAEP), 短潜時体性感覚誘発電位 (SSEP), 眼輪筋反射 (blink reflex: BR) を用いて検討した, 臨床的には筋緊張低下, 精神運動発達遅滞, 小脳虫部低形成, 異常呼吸, 異常眼球運動の5つの主要症状を認めた.BAEPでは, 1例が右側I-V波間の軽度潜時延長, 1例が左側で66dBの閾値の上昇がみられた.SSEPでは, 1例が正常, 残る1例で両側N20が消失していた.BRは, 2例とも両側後期成分R2, R2'の潜時延長が認められた。結論として電気生理学的検討ではBRで異常がみられやすく, 橋・延髄での三叉神経脊髄路や外側網様体の機能障害が存在すると考えられる.Joubert症候群では, こうした下部脳幹被蓋部の病変が存在し, BRの所見は, 臨床的な呼吸障害や異常眼球運動に関与している可能性があると考えられた.

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© 日本小児小児神経学会
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