2001 年 33 巻 4 号 p. 351-356
「特異な脳炎・脳症後てんかんの一群 (粟屋・福山)」に類似した最重症例の5歳男児例を報告した.5日前から発熱を伴う上気道炎に罹患し, 引き続いてけいれん重積に陥った.種々の抗けいれん剤に抵抗性で, 意識障害の持続する急性期は約130日間続き, 以後寝たきりとなった.回復期にも難治なけいれんを認めた.Phenobarbitalの大量投与が効果を示したが, 副作用と思われる再生不良性貧血をきたしたため中止した.しかし, 臭化カリウム剤によってけいれんはコントロールされた.「特異な脳炎・脳症後てんかんの一群」は一般に難治とされるが, 本児のような最重症例でも臭化カリウムが著効を示しており, 難治性けいれん疾患に対して臭化カリウムは試みるべき治療である.