脳と発達
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亜急性の経過で死亡したクリプトコッカス髄膜脳炎の1剖検例
頭部MRIと剖検所見との関連性
植田 仁鳥邊 泰久桑江 優子竹内 真中山 雅弘位田 忍岡本 伸彦鈴木 保宏
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2003 年 35 巻 6 号 p. 499-504

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抄録

我々は嘔吐, 意識障害で発症し亜急性の経過で死亡したクリプトコッカス髄膜脳炎の11歳女児の剖検例を経験した.入院時髄液検査にて軽度の細胞増多, 糖の低下および蛋白の上昇がみられ, 検鏡では厚い黄膜に包まれた球形の菌体 (Cryptococcus neoformans) を認めた。頭部MRIでは大脳基底核部にT2強調画像で高信号域を示す点状一結節状の多巣性病変と脳表面における点状線状の造影効果を示した.クリプトコッカス髄膜脳炎と診断し抗真菌剤の治療を開始したが, 入院数時間後に死亡した.剖検所見では大脳基底核を中心に集簇した血管周囲腔の拡大像と血流のうっ滞を伴う強い髄膜炎像を認めた。頭部MRI所見はクリプトコッカス髄膜脳炎の病理学的変化をよく反映していた.

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© 日本小児小児神経学会
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