2006 年 38 巻 1 号 p. 19-24
いわゆる動く重症心身障害児 (者) 病棟における, 強度行動障害を有する例の医学的背景と薬物療法の現状について調査した. 状態像としては「走れる」, かつ最重度の精神遅滞がある青年で, 自閉症の合併例が多かった.
薬物療法では抗精神病薬や抗てんかん薬の使用が多かった. 行動障害が重度なほど多剤併用になりやすく, 自閉症合併例では有意に薬剤使用量が多かった. 薬剤使用量が多い行動障害は粗暴性であった. 非定型抗精神病薬などの新薬の使用が約15%の症例でみられた.
有効な薬物治療の構築のためには, 標的症状に照準を合わせた前方視的な効果判定と評価が必要であり, 対象者の生活の質に注意すべきと考えられる.