脳と発達
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心理学の立場から: メンタライジングの発達
板倉 昭二
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2006 年 38 巻 4 号 p. 262-266

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抄録

他者の心的状態を見出したり推論したりすることをメンタライジングという. メンタライジングは, 人が円滑な社会的生活を営む上で重要な能力となる. メンタライジングの萌芽は, 乳児期初期の社会的知覚だと考えられる. すなわち, 人に対する志向性から始まり, 母子関係に代表される二項関係, さらに第三者もしくは対象物を含む三項関係の成立, そして他者の誤信念を理解する「心の理論」の成立へと続く. 本稿では, こうしたメンタライジングの発達を, 人に対する志向性, 人以外のエージェントに対する目標志向性の帰属や意図の理解, 誤信念の帰属について, われわれの実証的な研究を概略する.

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© 日本小児小児神経学会
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