脳と発達
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神経疾患および筋疾患症例に合併した無気肺に関しての臨床的検討
持続的な仰臥位での心臓と腹腔内臓器の重量による肺への圧迫について
豊島 光雄前岡 幸憲河原 仁志前垣 義弘大野 耕策
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2006 年 38 巻 6 号 p. 419-424

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抄録

神経疾患や筋疾患に合併し, 胸部CTで診断された無気肺の10例について検討した. 筋緊張が低下して寝返りが困難な症例に, 心臓または横隔膜に接した背側の肺区域に無気肺が多く見られた. 2例では寝返りの獲得後に無気肺は消失した. 仰臥位と比較して腹臥位では, 心臓が胸骨方向へ, 横隔膜腰椎部が尾側方向へ偏位することが胸部CTの3次元再構成矢状断像により示された. 寝返りが困難な神経疾患や筋疾患症例に合併する無気肺の一因として, 持続的な仰臥位での心臓と腹腔内臓器の重量による背側の肺への圧迫が考えられた. 6例で無気肺は改善し, 無気肺の治療として腹臥位, 寝返りを獲得させる運動訓練, 陽陰圧体外式人工呼吸器, 呼吸理学療法などが有用であった.

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© 日本小児小児神経学会
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