脳と発達
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小児の睡眠関連病態-新たな病態「失同調Asynchronization」の提唱
神山 潤
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2008 年 40 巻 4 号 p. 277-283

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抄録
子どもたちが夜眠れず, 昼間は眠い原因を「不適切な睡眠衛生」に基づく「睡眠不足症候群」と考えると, 適切な睡眠衛生のもと睡眠時間を確保することで改善するはずだが, この治療が実は困難である. 社会的因子の関与もあろうが, 筆者は不眠と眠気の悪循環に陥っている日本の子どもたちの病態生理解明に新たな疾患概念-失同調-の導入が必要と考えた. 失同調の本質は概日リズムを呈する様々な生理現象のリズムの破綻 (周期, 相互性, 振幅等) で, その原因として夜間受光と朝の受光喪失を想定した. 症状は自律神経機能異常, 高次脳機能異常, 精神神経症状, 身体機能異常等多岐にわたり, 初期には機能的な脳の障害も一部は固定化する場合があると考えている.
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© 日本小児小児神経学会
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