脳と発達
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Sjogren-Larsson症候群にみられた末梢神経障害について
折口 美弘埜中 征哉上野 留夫
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1974 年 6 巻 4 号 p. 271-277

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抄録

臨床的にSjogren-Larsson症候群と診断した10才男児の症例の末梢神経について組織学的に検索した.右尺骨神経の末梢神経伝導速度は, 19.3m/sec.と減少していた.生検材料は右腓腹神経より採取し, 1%OsO4固定後, エポン包埋した.光顕的には, 有髄線維は直径8μ 以下であり, Schwann細胞増殖を伴った“onion-bulb”形成, 神経線維内鞘のfibrosisが認められた.電顕的には無髄線維の大きさ及び形態の不整, 有髄線維では軸索の鋸歯状変化が著明であつた.髄鞘の増殖, 髄鞘の軸索からの離断, 層状構造離開なども認められた.神経線維周囲のcollagen fibrilsの増殖も著明であつた.
これらの (末梢) 神経変化をSjogren-Larsson症候群が常に伴うものか, 又偶然伴つたものかどうかは不明であつた.この症例は最初Refsum病との移行型とも考えられたが, この症例での血清phytanic acid値は正常であつた.この症例での末梢神経病変は変性変化というよりむしろ先天的形成不全と考えられた. (以上より) Sjogren-Larsson症候群は皮膚や中枢神経系だけでなく末梢神経をも含めた広汎な外胚葉組織の障害と考えられる.

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© 日本小児小児神経学会
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