1975 年 7 巻 4 号 p. 308-315
1才5ヵ月で発症し, 移動性皮下結節が顕著にみられた男児皮膚筋炎例を, 臨床的, 組織的, 電顕的に検討した.
1) 移動性皮下結節は, 組織的には血管病変を基盤とした非化膿性脂肪織炎および虚血性脂肪織壊死であり, 小児皮膚筋炎の特徴の一つとされる全身性血管病変による皮下脂肪織の病的修飾像と思われた.
2) 筋, 皮下組織の動静脈の電顕所見では, 血管内皮細胞の小胞体内に, 膠原病のウイルス引き金説の発端となつた約250Aの径を持つtubular cytoplasmic inclusionが容易に認められた.この封入体の本態に関しては現在不明であるが, 膠原病に高頻度に認められる事より, 膠原病との関連性, 特に診断的価値について注目される.