脳と発達
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DPH投与と血中11-OHCS
デキサメサゾン並びにメトピロン負荷前後の変動を中心として
藤井 邦生林 正樹村田 良輔
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1975 年 7 巻 5 号 p. 354-360

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抄録
DPH投与が患児の生体内代謝に及ぼす影響は多岐にわたる.このうち, 内分泌機能面に対して, 副腎皮質機能への影響をみんとして, 血中11-OHCS, ACTH値を検討したところ, DPH投与群と対照とに特に差を認めなかった.そこで, デキサメサゾン並びにメトピロンを投与して, その前後の血中11-OHCSの変動をみたところ, DPH投与群には, 正常に認められるところの抑制がみられず, 異常反応を呈し, かつ血清γ-GTP, β-glucuronidaseの肝酵素活性値は高値を呈する傾向にあった.これは, DPHの肝酵素誘導により, これらの薬物の代謝亢進をきたし, 経口摂取したデキサメサゾソ, メトピロソの血中濃度が, ACTH分泌を抑制したり, あるいは11β-hydroxylation部位を抑制する程の濃度に達しなかったものと推定した.抗けいれん剤投与中に, 他の薬物を併用投与した場合も, 同様の機序が存在して, 薬物効果に影響をもたらす可能性があり, 今後, この点にも留意されるべきであると考える.
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© 日本小児小児神経学会
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