脳と発達
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脳波検査の臨床的活用
黒川 徹
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キーワード: 脳波, 臨床的活用, 小児脳波
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1977 年 9 巻 2 号 p. 109-114

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抄録

脳波検査は本邦において広く普及しているが, その臨床的活用は解決すべき多くの問題を含んでいる.たとえば薬物誘導睡眠の乱用, 頭部外傷における脳波の適応, 非けいれん児にみられる棘波に対する抗けいれん剤過剰投与などである.
脳波検査は小児が自然睡眠に陥りやすいことを活用し, できるだけ覚醒および自然睡眠脳波をとる.また過呼吸は数唱のみではなく患児を観察しながら充分に行なわせる.息止め発作患児では通常脳波の他に眼球圧迫試験が診断上有用である.
てんかんにおける脳波検査は初回けいれんの診断, 発作型変容・難治性てんかん・発作再発時の病態の理解, 薬剤作用機序・効果判定, 薬剤中止時期決定, 経過観察などが適応として挙げられる.けいれん患児で脳波所見が正常のとき, あるいは “正常人” において発作波が得られたときの処置は臨床所見に従う.新生児脳波は急速な脳成熱を反映し, 睡眠周期が短いことを念頭において判読する.新生児けいれんの脳波は急性期にとることが大切で, それは処置および予後判定にも有用である.急性脳炎・急性脳症における脳波は脳侵襲をよく反映し, 治療に直結する救急脳波の典型である.また脳腫瘍, 血管性病変, 脳先天奇形, 外傷, 代謝性疾患における脳波検査の診断的意義について述べた.
脳波検査は今後も日常診療において普遍化することが予想されるが, 正しく活用することが要求される。

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© 日本小児小児神経学会
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