抄録
沖縄県宜野湾市の普天間飛行場周辺に位置する伊佐ウフガー,メンダカリヒーガー,ヒャーカーガーの3地点において,湧水中の有機フッ素化合物(PFAS)濃度と降雨量との関係を明らかにした.伊佐ウフガーでは,30日積算降雨量とΣPFAS濃度(PFOS,PFOA,PFHxS濃度の合計と定義)とに正の相関がみられ,メンダカリヒーガーでは負の相関が認められた.ヒャーカーガーでは明瞭な関係は確認されなかった.これは地下水の流出過程の違いが長期的な30日積算降雨量との関係に反映されていることを示唆する.一方,降雨イベント後には,PFAS濃度は数日程度の短期間のうちに応答し,伊佐ウフガーではΣPFAS濃度が増加したのに対し,メンダカリヒーガーではΣPFAS濃度が低下した.この差異は,湧水地点からPFAS汚染源までの距離に起因する希釈効果によって解釈できる可能性がある.