大阪歴史博物館研究紀要
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河内地域の庄内式期・布留式期の墳墓について
杉本 厚典
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2013 年 11 巻 p. 1-36

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抄録
本稿では河内地域の古墳時代前期の低墳丘墓について、墳墓の形態と出土土器の両側面から検討を行った。河内地域に伝統的な方形・長方形の周溝墓の他、瀬戸内地域の円形、東海地方の前方後方形などの他地域の墳墓形態が継続的に認められた。また供献土器においては外来系土器や、それをモデルとして作成される事例が見られ、ヨコミガキ器種群のように他地域の技術を応用して多用な精製器種を生み出していた。さらに土器を墳墓上に立て、囲繞する土器の用い方も庄内式期の新段階に確立した。この墳丘上に立てる土器の出現とともに穿孔が底部底面に集中し、穿孔の規模が大型化し、立てる土器へ特化したことを示した。しかし布留式後半期に、壺形埴輪や円筒埴輪が登場し、他地域の影響を受けつつ新たな土器祭祀を形成する動きは消滅することから、この段階で大和の王権を中心とする前方後円墳体制の影響下に組み込まれたと考えた。
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© 2013 大阪歴史博物館
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