大阪歴史博物館研究紀要
Online ISSN : 2435-8622
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8mmフィルム「天然記念物 但馬名勝 出石鶴山」撮影の背景
出石鶴山の歴史と映像の意義
俵 和馬
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2020 年 18 巻 p. 53-62

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抄録

大阪歴史博物館が所蔵している8 mmフィルムに「天然記念物 但馬名勝 出石鶴山」というものがある。本稿は、この映像が撮影された背景とその意義について、出石鶴山の歴史を振り返りつつ考察するものである。コウノトリの繁殖地として天然紀念物指定を受けた出石鶴山では、茶屋が設置され観光客で賑わった。しかしながら、営巣地の樹木の伐採により、コウノトリは四散、出石鶴山は天然紀念物の指定を解除された。この映像には、絶滅以前のコウノトリの行動と、観光地として賑わいをみせていた出石鶴山が映されており、日本産コウノトリの生態、当時の環境、戦前のツーリズムを考察するための資料となりうる。さらに、柳田國男の構想した「動物の国史」という考え方にもとづき、この映像が人と自然の関係性を考える契機となる可能性を示してみた。

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