本院では,緩和ケアチームや多職種と情報共有を行い,家族や患者本人への病状説明の場を設け,治療方針や療養先を共に検討できるような取り組みを行っている.今回受け持った症例で意思決定支援におけるプライマリナースとしての看護の役割について考察した.実際の看護においては,患者本人や家族からの情報収集に努め,情報共有をした.情報収集・共有を行うことで,患者や家族の意思が尊重される関わりを持つことができた.患者は亡くなる1週間前まではコミュニケーションが可能であったが,その後急速に意思疎通が出来なくなり,死亡した.家族は患者本人の意思確認を十分に果たせなかったことに対する責任を感じていた.著者はプライマリナースとして,予後予測が難しい高齢者であるからこそ家族と話し合いができる時間を設けるなど,適切な説明の機会を作ることが重要であると考えた.今後,意思決定支援を行ううえで患者・家族の意思の変化に応じた関わりを続けていく必要がある.