膀胱癌の骨転移,腰部脊柱管狭窄症による疼痛が強く,疼痛緩和目的で入院した患者が院内心停止後に遷延性意識障害を発症し,突然の意識障害に混乱している家族に対して,プライマリーナースとして対応した.
患者の家族には,インフォームドコンセントの調整や患者の現在の状態をできるだけ正確に伝えるように努めた.家族が抱える不安を軽減できるように,家族の葛藤を傾聴し,患者の状態や様子を伝え,家族が少しでも患者の状態を受容できるように関わりを続けた.その結果,家族は混乱状態から患者を受け入れようとする様子がみられた.衝撃を受けた患者や家族の辿る経過として,フィンクの危機理論が挙げられ,この理論をもとに本事例での家族の態度変容を考察した.
患者の受容が困難な状況下にある家族に対し,看護師は家族が患者本人と関わる時間をじっくり作り,家族皆が思いを表出できて安心して悩むことができる環境・場所を作ることが看護師として行うべき家族看護であると考えた.