日本温泉気候物理医学会雑誌
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原著
アルツハイマー病患者における発症後の入浴回数の変化と高次脳機能障害および抑うつ状態の変化との関連についての経時的検討
岩崎 靖森 恵子出口 晃鈴村 恵理前田 一範島崎 博也田中 紀行森 康則美和 千尋浜口 均川村 陽一
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2013 年 76 巻 3 号 p. 192-199

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抄録
目的 : 我々はアルツハイマー病(Alzheimer disease ; AD)患者は発症早期に入浴回数が有意に減少していることを以前に報告した。発症後の入浴回数の変化と高次脳機能障害および抑うつ状態の変化との関連についての追加検討が必要と考え、経時的所見を蓄積して再検討を試みた。
対象と方法 : 物忘れ外来通院中のAD患者で、初回検査時および1年後の入浴回数、高次脳機能検査および抑うつ状態の評価がすべて施行可能であった症例を用いた。入浴回数の変化と、高次脳機能検査および抑うつ状態の変化との間に相関があるかを統計学的手法を用いて検討した。
結果 : 65例のAD患者において初回検査時と1年後の入浴回数はそれぞれ5.6±1.6回週、4.9±1.9回週で、有意な減少を認めた。各症例における初回検査時と比べた1年後の入浴回数の変化値とWechsler Adult Intelligence Scale-Revisedのperformance intelligence quotientとtotal intelligence quotientの変化値との間に有意な正の相関を認めた。初回検査時と比べて1年後において入浴回数が減少した群と変化がなかった群に分けて検討すると、入浴回数が減少した群では変化がなかった群と比較して、初回検査時においてすでに有意な入浴回数の減少が認められた。また入浴回数が減少した群の初回検査1年後におけるZung Self-rating Depression Scaleは、入浴回数に変化がなかった群と比べて有意に高かった。
結論 : AD患者においては、発症後さらに入浴回数が減少することが示され、特に実行機能障害の悪化と相関していることが明らかとなった。また入浴回数が減少した群では抑うつ状態が有意に悪化していることが示された。
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© 2013 日本温泉気候物理医学会
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