抄録
温泉水の飲泉時における泉質の作用を調べるため、人工塩化物泉と人工炭酸水素塩泉が胃電図、心拍変動および主観的変化に及ぼす影響について検討した。若年健康成人10名(平均21.9歳)を対象とし、30分間安静後、室温度下の人工塩化物泉、人工炭酸水素塩泉、精製水200mlを1分間かけて飲み、その後1時間胃電図と心拍変動を測定した。測定順序はランダムで、また飲料内容は被験者に伝えずに行った。胃電図は胃活動3cpm、腸活動6cpmのパワー相対値を、心拍変動は心臓交感神経活動(低周波成分/高周波成分率)と心臓副交感神経活動(高周波成分パワー)、主観的変化は飲んだ水の味、胃腸の痛み感や違和感を申告させた。胃の活動は、人工炭酸水素塩泉で飲水直後に大きく、30分後小さくなり、この変化には人工炭酸水素塩泉の成分が、人工塩化物泉では精製水に比べ、有意に味があると申告され、これには主観的な要因が、胃の活動が精製水では30分後から大きくなり、交感神経活動では精製水の飲水直後と15分後、人工炭酸水素塩泉で30分後に有意に活動が亢進した。この変化には、複合的な要因が関与していると考えられた。