背景と目的 : 日常的な浴槽に浸かる温浴、温泉入浴施設の利用、緑茶の多飲は、日本人に特徴的な生活習慣である。我々の先行研究では、これらの習慣が、栄養バランスへの配慮、運動習慣、適切な睡眠、低ストレス、禁煙同様よい健康状態と関連するとの結果を得た。本研究では、浴槽浴、シャワー浴、温泉施設利用については季節要因を解析に加え、緑茶については茶葉で煎れた場合、缶・ペットボトルで飲む場合を加えて健康関連自己評価(主観的健康感、睡眠の質、主観的幸福度)との関連を検討した。
方法 : 2012年に静岡県が県民6,000人を対象に実施した自記式アンケート調査項目のうち、主観的健康感、睡眠による休養、主観的幸福度を従属変数に、季節ごと(夏、春・秋、冬)の浴槽浴頻度(週7日/週6日以下)、シャワー浴(シャワーだけ/それ以外)、温泉施設の訪問頻度(月1回以上/月1回未満)、茶葉で入れた緑茶の1日あたり飲量(1日500mL以上/500mL未満)、缶またはペットボトルの緑茶の1日あたり飲量(1日200mL以上/200mL未満)を独立変数とし、性(男/女)、年齢(50歳未満/50歳以上)、年収(400万円未満/400万円以上)を調整因子としたlogistic回帰分析を実施した。
結果 : 調査への回答者は3,054人(50.9%)であった。季節に関わらず毎日の浴槽浴は、主観的健康感(OR=1.27, 95%CI 1.05-1.52; p=0.012)、睡眠による休養(OR=1.41, 95%CI 1.13-1.77; p=0.003)、主観的幸福感(OR=1.35, 95%CI=1.15-1.58; p<0.001)が良い状態と有意に関連した。また、1年を通じて月1回以上の温泉施設利用する者は主観的幸福感(OR=1.25, 95%CI=1.03-1.50; p=0.021)が有意に高く、1日500mL以上茶葉で煎れた緑茶を飲む者は、主観的健康感(OR=1.24, 95%CI 1.01-1.53; p=0.039)が有意に高かった。
考察 : 季節を問わず毎日の浴槽温浴、1年を通じた温泉入浴施設利用、茶葉で煎れた緑茶多飲は、主観的健康感がよい状態と関連するとの知見が得られた。これらの生活習慣を取り入れることが、健康増進に寄与することが示唆された。
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