日本温泉気候物理医学会雑誌
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総説
国立大学温泉医学研究所の軌跡
東 威合田 純人
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2019 年 82 巻 2 号 p. 48-52

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抄録

  我が国は温泉資源に恵まれ,人々は古くから経験的に温泉を病気の治療,疲労回復に利用してきた.このような経験的温泉効果を近代医学により解明するために,1926年に東京帝国大学医学部に温泉気候物理医学を研究する内科物理療法学講座が創設されたのに始まり,1951年の群馬大学附属草津分院まで国立の七大学に附属温泉医学研究施設,あるいは温泉病院が設立された.

  これにより我が国の温泉医学研究は推進されてきたが,1990年代に大学改革の一環として国立大学独立行政法人化の検討が始まると「新分野の研究や医療」に対応した機構改革を迫られ,国庫補助の削減もあって温泉地の施設は本院講座への統合,市中病院への転換あるいは閉鎖され,2018年の鹿児島大学霧島リハビリテーションセンターの本院への統合を最後にすべて消滅した.残念ではあるが,各施設関係者の調査に基づいて各施設の変遷,施設長と主要業績などを学会誌に記録し,これまでの温泉医学研究がこれからも日々進歩する科学的知識,技法を取り入れて一層発展することを期待したい.

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© 2019 日本温泉気候物理医学会
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