2026 年 89 巻 2 号 p. 51-56
【目的】サウナ入浴は,心血管疾患死亡率の低下と関連していることが報告されている.一方,冷水浴によって収縮期血圧は上昇し,心血管系に好ましくない影響が及ぶ可能性があることが示唆されている.本研究では,サウナ入浴と冷水浴を組み合わせた温冷交代浴が心血管系に及ぼす影響について動脈スティフネスを指標として検討した.
【方法】対象は,健常若年男性11名(21.3±0.6歳)とした.対象者をサウナ入浴群(サウナ10分,シャワー1分,休息5分;3セット)と温冷交代浴群(サウナ10分,冷水浴1分,休息5分;3セット)に分け,クロスオーバー試験を行なった.脱水の影響を排除するために,いずれの群に対しても入浴前から入浴中に500 mLの飲水を指示した.心血管疾患の発症予測の指標である動脈スティフネスを上腕足首脈波伝播速度(baPWV)によって評価した.baPWVの測定は,入浴前,入浴直後,入浴30分後に行った.入浴の温度設定は,サウナ入浴86℃,シャワー浴40℃,冷水浴17℃とした.統計解析は,入浴方法(サウナ入浴,温冷交代浴)×時間(入浴前,入浴直後,入浴30分後)の2要因分散分析を用いて行った.
【結果】baPWVの測定結果に対して入浴方法と時間経過の2要因分散分析を行なったところ,入浴方法と時間経過の間に交互作用は認められなかったが,時間経過の要因に主効果が認められ(p=0.038),入浴前に比較して入浴30分後に有意な低下が認められた(p=0.034).
【結論】健常若年男性における500 mLの水分補給下のサウナ入浴及び温冷交代浴では動脈スティフネスは低下し,低下の程度に入浴方法による差は認められなかった.今後は,入浴条件や利用者の年齢,健康状態を考慮した上で,サウナ入浴と温冷交代浴が動脈スティフネスに及ぼす影響を検討する必要がある.