日本温泉気候物理医学会雑誌
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京都在住日本人とロサンゼルス在住日系米人との入浴習慣の比較検討
矢野 忠廣 正基今西 二郎宮田 昌明前田 修作中西 修平米田 真康河野 修興
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論文ID: 2305

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抄録

【目的】人の入浴習慣は,居住している国のそれに影響されると言われている.その一端を検証するために京都在住日本人とロサンゼルス在住日系米人の入浴習慣について調査した.

【方法】対象は京都在住日本人488人とロサンゼルス在住日系米人539人とした.入浴習慣の調査項目は,(1)バスタブ入浴およびシャワー浴の頻度(週当たりの回数)・入浴時間帯(朝・昼・晩),(2)他の入浴方法,(3)入浴時間とした.集計は単純集計とクロス集計とし,単純集計には95%信頼区間を算出し,併せてカイ二乗検定を行った.調査は京都では2013年12月,ロサンゼルスでは2010年10月に実施した.

【結果】(1)バスタブ入浴の割合:日本人は92.8%(453/488人)に対して日系米人は56.0%(302/539人)であり,日本人が36.8ポイント多かった.(2)シャワー浴の割合:日本人は71.7%(350/488人)に対して日系米人は82.6%(445/539人)であり,日系米人が10.9ポイント高かった.(3)バスタブ入浴の頻度別と時間帯別:頻度別では両群とも「ほぼ毎日」が最も多く,次いで「1日おき程度」であった.時間帯別は両者とも「晩」が最も多かったが,日系米人では「朝」も21.8%を占めた.(4)シャワー浴の頻度別と時間帯別:頻度別で最も多かったのは,日本人では「それ以下」で48.0%,日系米人では「ほぼ毎日」で78%を占めた.時間帯別では,日系米人が「朝」と「晩」に分かれたが,日本人では「晩」に集中した.(5)入浴時間:最も多かった入浴時間は,日本人では「26~30分以内」に対して日系米人では「6~10分以内」であった.

【考察】日系米人はシャワー浴が主で朝や晩の短時間の入浴であったことから,身体の清潔保持が入浴の目的であると考えられた.一方,日本人はバスタブ入浴が主で晩にゆっくりと入浴することから,身体の清潔保持および癒しや疲労回復等の健康維持・増進が入浴の目的であると考えられた.この相違は同じ日本人であっても居住地の国の入浴習慣の影響によると考えられた.

【結語】日本人と日系米人の入浴習慣は,入浴様式,入浴時間帯,入浴時間において異なっていた.

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