日本温泉気候物理医学会雑誌
Online ISSN : 1884-3697
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気管支喘息における High-resolution Computed Tomography (HRCT)上の Low Attenuation Area (LAA) および換気機能に及ぼす温泉療法の効果
芦田 耕三光延 文裕御舩 尚志保崎 泰弘柘野 浩史岡本 誠西田 典数高田 真吾横井 正谷崎 勝朗
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2001 年 64 巻 4 号 p. 203-209

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抄録
High resolution computed tomography (HRCT) 上の-950HU以下の low attenuation area (LAA) は, 肺の気腫化傾向を示すと言われている。本論文では, 気管支喘息9例を対象に, 温泉療法のLAAに及ぼす影響を中心にその臨床効果について若干の検討を加えた。1. HRCT上の肺の第2レベル (下葉気管支の入口部の高さ) および第3レベル (横隔膜上3cmの高さ) における%LAAは, 温泉療法前に比べ療法後に有意の減少傾向を示した (p<0.05)。2. CT numberも-924.4HUから-915.5HUへと有意に増加した (p<005)。3. %LAAは深呼気時および吸気/呼気比では, 温泉療法後で有意の差は見られなかった。
4. %FVCや%FEV1.0値は, 温泉療法後に増加する傾向が見られたが, これらの症例では, 温泉療法前と比べ有意の増加ではなかった。5. 平均%残気量 (%RV) は, 温泉療法後に187.7%から142.5%へと有意の減少を示した (p<0.05)。6. %DLco値では, 温泉療法前後で有意の変化は見られなかった。
以上の結果より, 温泉療法によるHRCT上の%LAAの減少は, %RVの減少とある程度関連していることが示唆された。
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