線維性異形成症 (fibrous dysplasia) 等の顔面の線維性骨病変 (fibro-osseous lesions) に対する手術では増大した部分の輪郭を整えることが必要である。 本手術ではナビゲーションを用いた種々の工夫が報告されているが, 術後評価に関する検討は少ない。 今回, 顔面の線維性異形成症を含む線維性骨病変5例に対してナビゲーションを用いた減量手術を行い, 術前後の CT を用いて定量的な術後評価を行った。
術前 CT における健側のミラーイメージを切除予定ラインとして設定する。 CT データにおいて, 術前の切除予定容積と術後の実際の切除容積から関心領域における 3D (3次元) 切除率を算出した。 3D 切除予定容積は 3,109mm3 から 19,779mm3, 平均 8,115mm3 であった。 3D 切除率は 50.6% から 87.7%, 平均 63.9% であった。 腫瘍が脆弱であり, 切除ラインが術中に変更となった症例や眼窩深部に病変が及ぶ症例では 3D 切除率が低かった。 3D 切除率は関心領域における骨増殖部分の切除達成率を定量化する新しい方法である。 3D 切除率を用いることでは顔面骨増殖性疾患に対する手術の客観的な評価が可能となり, 今後の術式改善に役立つと考える。