音声研究
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研究論文
発音練習の形式の差異が,その効果に与える影響 : 「教師の後に発音」と「教師と一緒に発音」は,どちらが有効か
長井 克己
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2007 年 11 巻 2 号 p. 79-93

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抄録

発音練習にはいろいろな形式があるが,モデルとなる発音を学習者が繰り返すのが基本であることは変わりがない。本研究ではモデル発音の後に続いて学習者が発音する形式(a-repeatと略記)と,モデル発音と一緒に学習者が発音する形式(w-repeatと略記)を取り上げ,4つの実験を行って日本語を母語とする英語学習者が行う発音練習の効果を調べた。無意味語を用いた実験1では,学習者の発声が始まるまでの時間は600msから900ms程度で,語の内容と音韻長により変化することが分かった。実験2では無意味語と有意味語の両方の英単語を,実験3では英文をそれぞれ発音練習させて録音し,母語話者にその自然性の判断を依頼した。実験2と実験3から,単語(特に無意味語)の発音練習では両形式の成績に大きな差は出にくいが,英文の発音練習ではモデル発音の後に続いて学習者が発音する形式(a-repeat)の優位性が示された。実験4では実験3でテスト文の強勢パタンを単音節taで再現させてその時間的正確さを計測したところ,英文の発音練習で見られたa-repeatの優位性が消失した。

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© 2007 日本音声学会
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