2021 年 25 巻 p. 1-8
本研究の目的は吃音者の調音能力と話速制御が非吃音者と同じかどうかを検証することである。吃音者20名と非吃音者20名を対象に,音読とシャドーイングの課題を行った。それぞれの課題における,発話・調音速度,ポーズ数,ポーズの持続時間を求めた。その結果,音読課題においては,吃音者の調音速度が遅く,ポーズ数が多かったが,シャドーイング課題では非吃音者との有意な差は見られなかった。このことから,吃音者が音読とシャドーイングで異なる発話制御をしている可能性がある。また,音読課題中に吃音者の調音速度とポーズ数の間に有意な負の相関が見られた。