音声研究
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第二言語習得
第二言語習得における音節構造認識 : 日本語と英語の場合(第二言語習得,<特集>音声の獲得)
上山 素子
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2003 年 7 巻 2 号 p. 84-100

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抄録

日本語と英語の相違は,可能な音節構造の複雑さ(英語の方が複雑)と,単語分割時に用いる最小韻律単位(英語は音節,日本語はモーラ)の二点においても説明されてきた。本研究では,日本人英語学習者とアメリカ人日本語学習者を対象に,学習者の音節構造認識,及び,そのような認識に習熟度が与える影響を検証した。調査では第二言語の単語をnoに言い換えてもらった(日本語の例:ねこ→/no-no/)。その結果,日本人英語学習者は,上級レベルでも50%以上のケースで英語の単独音節を複数に分割,また,分割単位としてモーラを用いることがわかった。一方,アメリカ人日本語学習者のデータでは,半数の初級者が50%以上のケースで日本語の特殊モーラを単独単位として認識,また,上級者全員の認識度がネイティブ・レベルに達していた。日本人英語学習者の方が長い期間にわたり母国語の影響を顕著に受ける傾向には複数の原因が考えられ,第二言語の音節構造認識の発達のメカニズムの複雑さが明らかになった。

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© 2003 日本音声学会
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