帯広大谷短期大学紀要
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米粒の貯蔵脂質と膜脂質について
とくに日本型米とインド型米との比較
間野 康男
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1991 年 28 巻 p. A69-A76

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抄録

北海道米を中心にして、栽培地を異にする5品種の米粒脂質の全体像と構成脂肪酸および米粒の貯蔵脂質(TG)と膜脂質(リソ脂質群)の分子種を調べた。その結果、得られた知見は次のようであった。1.米の品種や栽培地は違っていても、脂質含量や各脂質クラスの定性的定量的な異同ほほとんど認められなかった。2.構成脂肪酸については、貯蔵脂質および膜脂質とも登熱期の気温の違いにより、寒冷地米ではリノール酸が多く、温暖地ないし熱帯で収穫された米にはオレイソ酸が多かった。パルミチン酸はTGとPIでは栽培地が南下するにつれて多くなる傾向にあったが、PCとPEは栽培地の異同による量的な違いはなかった。3.米の品種や栽培地のいかんにかかわらず、TGにもっとも多い分子種は16:O-18:1-18:2であった。寒冷地米には比較的不飽和度の高い分子種が多く、逆に、温暖地ないし熱帯米には不飽和度の低いそれが多かった。4. PCの分子種は寒冷地米には18:1-18:2がもっとも多く、温暖ないし熱帯米には16:O-18:1が多かった.また、PEのそれには米の品種や栽培地にかかわらず16:O-18:2が多かった。さらにPIの分子種では、いずれの品種にも16:O-18:2が40%以上含まれていた。すなわち、いずれのリン脂質クラスの分子種組成にも、2の構成脂肪酸が反映されていた。

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© 1991 帯広大谷短期大学
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