帯広大谷短期大学紀要
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論文
ヴィゴツキーの障害児発達論について
明神 もと子
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2011 年 48 巻 p. 41-46

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抄録

心理学者ヴィゴツキーは障害児教育においても、先駆的な理論を展開しており、発達と発達診断、障害の理解、教育方法など、現代においても、大きい示唆を与えている。障害特性やTEACCHプログラム、行動分析など行動主義に根ざした指導が広く行われている現代にあって、ヴィゴツキーの理論は新しく、挑戦的、批判的である。
障害児と健常児の発達には共通性を認めたうえで、障害に由来する発達の独自性があると考えている。障害については、1次的障害(脳の障害など)と2次的障害(知的障害など)を区別した。教育の効果があがるのは、生物的なものではなく、文化的なものとし、感覚訓練などでなく、高次精神機能に働きかけることが重要であるとした。指導には集団が重要であるとした。個別指導が強調される現在の現場実践の再検討を迫るものであろう。

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