2015 年 52 巻 p. 51-62
本稿は、訓練を中心とした従来の知的障害児の療育に対して、最近、進んできている社会や制度における障害の捉え方の変化、診断基準の変更、障害者美術に関する活動の盛り上がり、等を受けて、これまでの療育活動に加えて新たな指導・援助方法としての美術表現活動について検討したものである。特に、療育や保育の視点ではなく、美術の専門的な視点からアール・ブリュットについて言及し、知的障害児が制作した作品に対して、その内面から生じる衝動を見出し得る障害児施設職員の知識・技能・体験の向上充実が必要であり、これを支持する研修活動と知的障害児の制作した作品を公表する取り組みを同時的に行うことが重要であると訴えた。