抄録
音更町の高齢者福祉政策の一環である「高齢者と若者のふれあい住宅」がスタートして27年が経過した。そこで、本稿では「高齢者と若者のふれあい住宅」の目的である高齢者と若者の関わりの実態の整理と成果、今後の課題を福祉的視点で考察した。検討資料として、2004(平成16)年、2007(平成19)年、2011(平成23)年に実施した入居高齢者、学生、町の担当職員へのアンケートやインタビュー資料を用いた。さらに2017(平成29)年度は現在入居している介護福祉専攻に在籍する2年生2名の学生に聞き取りを行った。その結果、「高齢者と若者のふれあい住宅」の今後のあり方として、高齢者の社会参加、生きがいづくり促進事業として、また地域福祉の推進・コミュニティづくりの場として位置づけることで、インフォーマルな側面から高齢者福祉政策、地域包括ケアシステムを考える糸口としての可能性が示唆された。