耳鼻咽喉科展望
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臨床
甲状腺平滑筋肉腫の1症例
内田 淳洲崎 春海
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2008 年 51 巻 3 号 p. 145-149

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抄録
甲状腺に発生する腫瘍の中で肉腫の頻度は少なく, 血管内皮腫・骨肉腫・線維肉腫・悪性線維性組織球症などが比較的多く報告されているが, 平滑筋肉腫はきわめて稀である。今回, 我々は甲状腺平滑筋肉腫の症例を経験した。症例は65歳女性, 当院内科にて1995年より右腺腫様甲状腺腫にて経過観察中にあったが, 2003年8月上旬頃より右前頸部腫瘤の増大が見られ, 同年9月当科を初診した。初診時に呼吸苦と右反回神経麻痺が見られ緊急入院となった。入院後, 全身麻酔下にて気管切開術と腫瘍生検を行った。臨床的な経過から甲状腺未分化癌と考えられたが免疫染色などにて甲状腺平滑筋肉腫の診断を得た。シクロホスファミド, ビンクリスチン, ドキソルビシン, ダカルバジン (CYVADIC療法) を1クール, CDDP+5FUの投与を1クール行ったが効果は見られず腫瘍はしだいに増大し, 2004年4月に死亡した。以前より4cmを超える腺腫様甲状腺腫があり, 良性と診断されていても早期での手術の考慮も必要であると考えた。
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© 2008 耳鼻咽喉科展望会
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