抄録
気管内チューブ抜管後に生じた披裂軟骨脱臼の1症例を経験した。症例は40歳男性, 心不全にて入院治療中に心肺停止を来たしたため, 緊急気管内挿管を施行した。全身状態軽快により, 気管内チューブ抜管後に嗄声が出現した。喉頭ファイバースコープ検査及びCT検査を施行し披裂軟骨脱臼と診断し, 静脈麻酔下にて非観血的披裂軟骨脱臼整復術を施行した。披裂軟骨脱臼は, 症状として嗄声が多いため, 反回神経麻痺と診断され見逃されることが度々ある。嗄声を訴える場合には, 披裂軟骨脱臼も鑑別疾患の一つとして考慮するべきである。