耳鼻咽喉科展望
Online ISSN : 1883-6429
Print ISSN : 0386-9687
ISSN-L : 0386-9687
薬剤関係
鼻噴霧用ステロイド薬の鼻粘膜付着状態からみた問題点と粘膜付着型鼻過敏症治療剤スカイロン® の有用性の検討
藤倉 輝道宮崎 隆小山 悟岡坂 健司
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 52 巻 6 号 p. 474-481

詳細
抄録

鼻噴霧ステロイド薬はアレルギー性鼻炎において極めて有効な治療薬であるが, 点鼻薬を好まない患者もいる。医師が実地に点鼻方法を指導する機会は少ないため, 噴霧した薬剤が適切に鼻粘膜に噴霧されているか否か十分な検討はなされていない。18例のスカイロン® 噴霧時鼻腔内視鏡観察の結果, 約半数は鼻腔底や鼻前庭に噴霧されており薬剤が有効に鼻粘膜に付着し患部に移行していないと推察された。4名のボランティアにおいて鼻腔内での薬剤の停滞時間をフルナーゼ® とスカイロン® で比較検討した。スカイロン® は広く放射状に噴霧, 付着し, 長時間停留する傾向がみられた。スカイロン® は吸着性が優れていることに加え, ノズルにも改良がなされ容易に広く均一に噴霧できた。通年性アレルギー性鼻炎患者27名における使用経験からも, においなどの使用感, デバイスの利便性から総合的にスカイロン® の方が使いやすいとした患者は多かった。今後は薬剤の薬理効果のみならず, 基剤やデバイスの特性などにも目を向ける必要がある。患者に対し, 点鼻方法, 基剤やデバイスの特性などについても説明を行うことで点鼻ステロイド薬のより有効な使用と効果発現が得られると考える。

著者関連情報
© 2009 耳鼻咽喉科展望会
前の記事
feedback
Top