抄録
成人発症の滲出性中耳炎と乳突蜂巣発育度との関係においては報告によって様々であり, 統一した見解が得られていない。今回我々は成人発症の滲出性中耳炎患者66例81耳を対象に, 乳突蜂巣発育度が滲出性中耳炎の発症と初期治療経過に及ぼす影響について検討した。蜂巣発育度は矩形面積法を用いて評価した。
保存療法による改善率は, 50歳未満の若年層では50歳以上の高齢層に比べて改善率は低い傾向を示し, 若年層と高齢層では滲出性中耳炎の性質が異なる可能性が示唆された。若年層では乳突蜂巣の発育不良は発症および遷延化のリスクファクターであり, 小児滲出性中耳炎の特徴に類似していた。一方, 高齢層では乳突蜂巣の発育不良は発症におけるリスクファクターである可能性が示唆されたが, 遷延化の因子ではなく, 遷延化にはその他の要素が関わっていると考えられた。