耳鼻咽喉科展望
Online ISSN : 1883-6429
Print ISSN : 0386-9687
ISSN-L : 0386-9687
臨床
起立性調節障害の経過と自他覚症状の評価
近藤 貴仁小川 恭生大塚 康司稲垣 太郎清水 重敬鈴木 衞
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 53 巻 5 号 p. 287-292

詳細
抄録
めまいの原因として, 起立性調節障害が病態の背景となっていることがある。今回我々は, 2009年11月から2010年5月までに当科めまい外来にて精査を行い中枢疾患や内耳末梢性疾患が否定された症例の中で, 大国の分類にて起立性調節障害と診断され, 苓桂朮甘湯を使用した31症例の臨床経過について検討した。苓桂朮甘湯投与前, 投与2週間後, 投与4週間後に, 自覚症状の評価としてVisual analogue scaleを, 他覚所見の評価としてシェロングテストを用いて評価した。Visual analogue scaleでは, 投与前平均は51.5, 投与2週間後平均は39.5, 投与4週間後平均は27.9と, 時間の経過とともにスコアの改善がみられ, Visual analogue scaleによる自覚症状の評価では苓桂朮甘湯の有効性が示唆された。シェロングテストでは, 2週間後では陽性症例数は減少したが2週間後以降は改善がなく, 逆に投与前にシェロングテスト陰性であった症例において経過中陽性になる項目があった。投与前のシェロングテストの結果別にVisual analogue scaleの結果を検討し, 投与2週間後では統計学的有意差をもって治療前シェロングテスト陽性群でVisual analogue scaleの改善率が良好であった (p=0.0027)。性別と40歳未満と40歳以上に分けた年齢別にVisual analogue scaleとシェロングテストの結果を検討した。投与2週間後では, 統計学的有意差をもって男性症例 (p=0.0152), 40歳以上の症例 (p=0.0318) でVisual analogue scaleの改善率が良好であった。
著者関連情報
© 2010 耳鼻咽喉科展望会
前の記事 次の記事
feedback
Top