耳鼻咽喉科展望
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綜説
嗅覚検査の現状と今後の展望
三輪 高喜
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2011 年 54 巻 2 号 p. 70-79

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抄録
嗅覚検査の現状と将来の展望について概説する。
嗅覚検査は自覚的検査と他覚的検査に分けられるが, 他覚的検査はいまだ臨床で用いられておらず, 臨床検査として行われているのは自覚的検査のみである。自覚的検査は, 域値検査, 同定能検査, 識別検査に分けられ, 域値検査は患者のニオイを感じる強さすなわち嗅力を表している。同定能検査ならびに識別検査は患者のニオイを嗅ぎわける, または認識する能力を表している。わが国で行われているT&Tオルファクトメーターは域値検査と同定能検査の両方を兼ねた検査であるが, 検査の煩雑さとニオイ汚染の問題から臨床の現場で用いられることは少ない。近年, ニオイスティック, Open Essenceなど日本人に適した嗅覚同定能検査が開発され発売されている。同定能を測定するのに有効な検査法であるが, まだ保険承認が得られていないため, 臨床検査として用いることはできない。今後は他覚的検査の臨床応用とともに, これらの同定能検査が臨床の場で用いられるようになることが求められている。
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© 2011 耳鼻咽喉科展望会
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