耳鼻咽喉科展望
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54 巻, 2 号
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カラーアトラス
綜説
  • 三輪 高喜
    2011 年 54 巻 2 号 p. 70-79
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/04/15
    ジャーナル フリー
    嗅覚検査の現状と将来の展望について概説する。
    嗅覚検査は自覚的検査と他覚的検査に分けられるが, 他覚的検査はいまだ臨床で用いられておらず, 臨床検査として行われているのは自覚的検査のみである。自覚的検査は, 域値検査, 同定能検査, 識別検査に分けられ, 域値検査は患者のニオイを感じる強さすなわち嗅力を表している。同定能検査ならびに識別検査は患者のニオイを嗅ぎわける, または認識する能力を表している。わが国で行われているT&Tオルファクトメーターは域値検査と同定能検査の両方を兼ねた検査であるが, 検査の煩雑さとニオイ汚染の問題から臨床の現場で用いられることは少ない。近年, ニオイスティック, Open Essenceなど日本人に適した嗅覚同定能検査が開発され発売されている。同定能を測定するのに有効な検査法であるが, まだ保険承認が得られていないため, 臨床検査として用いることはできない。今後は他覚的検査の臨床応用とともに, これらの同定能検査が臨床の場で用いられるようになることが求められている。
臨床
  • 小島 博己, 濱 孝憲, 小林 小百合, 山本 和央, 吉田 隆一, 谷口 雄一郎, 田中 康広
    2011 年 54 巻 2 号 p. 80-87
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/04/15
    ジャーナル フリー
    同一術者が単純穿孔性中耳炎症例に対して施行した耳後法アプローチによる鼓室形成術 (鼓膜形成法はunderlay法) 164耳の治療成績について術後聴力成績, 穿孔閉鎖率について検討を行った。
    その結果, 聴力改善の成功率は90.2%であり, 術後1年以上経過した時点での鼓膜閉鎖率も92.1%と良好であった。術後聴力の因子の検討をロジスティック解析により行った結果, 耳小骨再建方法 (III型) および鼓室硬化症が統計学的有意に聴力改善に対する不良因子であった。年齢が低いほうが鼓膜穿孔閉鎖率は高かったが, 鼓膜穿孔の大きさ, 原因疾患などと鼓膜穿孔閉鎖率の間に統計学的有意差は認なかった。執刀経験数と聴力改善成績または穿孔閉鎖率の間には相関はみられず, 本手術は比較的容易に習得できるものと考えられた。鼓膜穿孔閉鎖率は接着法よりも良好であり, overlay法での成績と比べても遜色ない結果であったことから, 術後形成鼓膜の浅在化を起こしにくいことを考えれば耳後法によるunderlay法は初回手術に際して優れた方法であると考えられた。
  • 鈴木 香, 中山 次久, 浅香 大也, 大櫛 哲史, 鴻 信義
    2011 年 54 巻 2 号 p. 88-92
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/04/15
    ジャーナル フリー
    コレステリン肉芽腫は側頭骨錐体尖部に発生する疾患の中で最も多くみられる。我々は, 内視鏡下にて蝶形骨洞アプローチによる錐体尖コレステリン肉芽腫のドレナージを行ったので報告する。症例は34歳男性で, 耳漏, めまい, 頭痛を主訴に受診した。CT上, 錐体尖部を中心に蝶形骨洞を置換するように陰影を認めたため, 蝶形骨洞アプローチによる手術を選択した。蝶形骨洞アプローチの手術は側頭骨アプローチの手術に比し, 手技も比較的に単純であり, 術後合併症のリスクも多くはないであろう。また, 術後も明視下に処置ができる利点がある。今後, 錐体尖部に生じた病変に対し, 蝶形骨洞アプローチによる手術が一つの選択枝になると考える。
解説
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薬剤の特徴と注意点
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